不機嫌な態度をとる人への対応の仕方を考える
不機嫌さを前面に押し出してくる人、本当に勘弁してほしいですよね。
「私は自分の感情のコントロールもできない人間です」ということを自ら公にして恥ずかしくないのかしら…と思わずにはいられません。
その中でも、特定の人に対してこのような態度に出る人っていますよね。
その特定の相手というのが自分だとつらい…
以前友人から、「自分は人から八つ当たりされたりすることが多いのはどうしてだろう」と相談されたことがあります。
その時はうまく説明できなかったのですが、今なら少しは答えられる気がします。
それは自分が依存的な人だからです。
不機嫌な理由を他人のせいにして「私はあなたにこんな思いをさせられたのだから、あなたが私の機嫌を取るべきだ」という態度で接してくる人。
酷い場合は、苛立ちの原因とは全く関係のない人に「私は今機嫌が悪いからあなたが私の機嫌を取れ」とでも言いたげな態度で近づいて来る人もいますね。いわゆる八つ当たりです。
こういう人って、他人を通して自分の欲求を満たそうとする依存的な人です。
自分で自分の欲求を満たすことができない(自尊心や自己肯定感が低い)ため、他人にそれを求めます。
かえって、精神的にきちんと自立している人(自分で自分を認める能力の高い人)は、自分で自分の感情を管理できる人。
実際に起こった出来事と自分の感情とをしっかりと区別して考えることができる人です。
一方、自分の感情を自己管理できない人は、不機嫌さを態度で示したりして、他人に依存して自分の機嫌を取ってもらうことしかできない。
実際に起こった出来事と自分の感情を一緒に考えているから、「私にこんな思いをさせたあなたが責任を取って」と依存してくる。
自分の感情を揺さぶられた出来事が発生するに至るまでの本当の原因を考えることなく、自分が嫌な思いをしたということだけにフォーカスを当てて責任転嫁している人が多い気がします。
そして、自分のタスク(感情をコントロールすること)を他人に押し付けてくる。
そういう人の機嫌を取り始めると、ことあるごとにこちらに機嫌を取らせようとしてきて、悪循環に陥ってどんどん自分がしんどくなるだけ。
そうやって依存してくる人には「それ(あなたの機嫌を取ること)は私のタスクではないので」と突き放すしかない。
それこそ、数か月前にとある芸人さんが「自分の機嫌は自分でとって」と名言を残していましたね。まさにこれです。
実は、必死に機嫌を取ろうとする人自身も、依存的な人です。
「私が我慢しておだてておけば、丸く収まるはず」と思い込んで他人のタスクを自分のタスクだと思い込んでしまっていることが多い。
自分を犠牲にして相手を喜ばせること、相手の機嫌を代わりに取ってあげることで、相手のタスクを奪ってしまっているんですよね。
相手のタスクを奪うことも依存の一つ。
なぜなら、自分の感情を犠牲にしてまで相手に喜んでもらうことで自分自身の自己肯定感を高めてしまっているから。
酷い場合には、相手が求めていることこそが自分のやりたいことだと錯覚してしまっている人も多いのだとか。
これは特に親子関係や恋人関係に多くみられるようです。
そして、依存されやす人自身、他の誰かには依存していたりもするのです。
お互いに自尊心や自己肯定感が低いことによって、このような関係が形成されてしまいます。
自分で自分をしっかりと認めてあげること。
そして、自分は自分、他人は他人、と自分と他者をきちんと線引きすることが大事です。
苦しい人間関係のほとんどが、この依存関係にあると思います。
かくいう私も以前は依存したり依存されたりしていました。
このような関係を「共依存」と言うそうです。
【共依存】
自己評価や同一性を他人に求め、「自分らしさ」を喪失し、他人を通して自分の欲求を満たそうとする、対人関係などの関係性のこと。(看護・医学事典)
簡単に説明すると、一方は相手に何かをしてもらうことによって自分の自尊心を満たし、他方は相手に何かをしてあげることによって相手に喜んでもらい自分の存在価値を見出すというもの。
私の場合は家族間で共依存状態にありました。
一番身近な家族だからこそ「言わなくてもわかるだろう」と自分勝手に思っていました。
しかし、家族も所詮は自分ではない他人です。
気付けば、自分と他人との境界線が曖昧になってしまっていました。
依存すること自体が決して悪い事ではないのですが、互いに依存し依存されるバランスが大切です。
そのバランスが崩れ、どちらかが辛いと感じ始めた時点でそれは共依存であり、苦しい関係になります。
例えば、親子関係での共依存。
親が子供のためを思って、また子供が喜んでくれることが嬉しくて、色々なことを先回りしてやっておいてくれる。
そのうち子供は自分が言わなくても親がやってくれるから大丈夫だと思い始め、親を通して自分の欲求を満たすようになる。そして、「何も言わなくても分かってもらえる」と思い始める。
次第に、親は何とか子供の要望に応えようと必死になるが、子供が何を求めているのかわからず苦しくなる。
子供も「今までは何も言わなくても分かってくれていたのにどうしてわかってくれないんだ」と思い、お互いに欲求が満たされずに苦しい関係となる。
この「共依存」という考え方を知ってからは、人間関係がうんと楽になりました。
いい意味で「自分は自分、他人は他人」と割り切れるようになりました。
感情が大きく動きそうになった時には、自分のタスクは何なのか、相手のタスクは何なのかを考えるようにしています。
例えば、相手の言い方が気に障って苛立ったとします。
この時点での私のタスクは自分の感情を整理すること。
相手の言い方が嫌だった。自分がぞんざいに扱われた気がした。だから私は腹が立った。
その前に、どうして相手は酷い言い方をしてきたのか。
イライラした気持ちをぶつけられてこちらは迷惑をした。
自分のイライラした気持ちくらい自分でコントロールして欲しい。
だから、相手の態度の悪さでこちらが心を乱される必要はない。
このように考えることで、「あー何か知らんけど機嫌悪いなー」くらいの感覚で、冷静でいられることが増えました。
むしろ、誰かに対して怒りの感情を持つことがほとんどなくなりました。
ここしばらくはずっと穏やかに過ごせているので嬉しい限りです。
私の場合、この考え方が非常に有効でしたので、ご紹介まで。